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好きな人と恋人にならないという選択肢...

好きな人と恋人にならないという選択肢

昨日、パートナーとさよならをした。

恋の終わりはどんな形であれ、センチメンタルな気持ちになる。
いろんな事を思い出しながら、昨日の夜だけはたくさんお酒を飲んで、タバコを吸って、「Always on My Mind」を聴いた。
まるでテンプレートのような失恋当夜を過ごすのは、自分が映画の主人公になったみたいで、悪くない。
しかし、一晩明けると、激しい頭痛が私を映画の世界から現実へと引き戻していった。
朝が訪れると、容赦なくおなかは空くし、仕事にも行かなくちゃいけない。
そんな毎日は、どんな気持ちも忘れさせてくれるから、私は消えてしまう前に自分の”映画”を書き留めておきたいと思った。

どちらかというと、徐々に温度が上がって沸騰するというより、ガスバーナーで炙るみたいな、そんな感じの出会いだった。

私たちは、「恋人」になる選択肢を取らなかった。
それは私から提案した。
いろんな理由があるけど、大きくは自分の性別が問題だった。

私の性別は「なし」というのが一番近い。(流動的なものだから変化することもある。)
そんな私がどんな人を好きになるかは、正直自分でもよくわからなかった。
例えば、私が戸籍上の同性と恋人になったとしたら、それは世間的に見ると”ゲイカップル”とみなされる。
異性だったとしたら、私はきっと男としての役割を求められるだろう。
日本でも少しずつLGBTへの理解は深まり、恋愛の多様性は受け入れられつつあるかもしれない。
しかし、多様な恋愛の中には同性カップルかストレートカップルかの2択しかない。
そこに例外は存在しない。

そうなると「恋人」という関係を取ることに疑問を抱きはじめた。
自然と、好き合うもの同士は恋人になるものだと思っていたが、結婚と違って何か契約を結ぶわけではなく、他人からの見られ方を規定するものでしかないのだから、本来は自由であるべきだと思った。
しかし、「恋人」になるということは暗黙の了解として、いろんなルールが存在する。
・相手以外の人と関係を持たない。
・結婚がネクストステップ
・体の関係があってもいい
など。
もちろん全てのカップルがそうではないが、恋人という関係を持つということは基本的にそのルールを守ることとなる。
第三者からの見られ方も、「恋人」と名乗ることで固定化され、それを全うしていないカップルは”変わっている”ことになる。

そもそも、人間なんて、自分のこともうまくコントロールすることすらままならない。
そんな人間が二人、恋愛なんて不安定な感情で結ばれて、そこのルールを自分たちで決めないのは、あまりにも不安要素が多すぎる。
相手と特別な関係になれたなら、その関係をずっと続けたいし、ベストな状態でいたいと願うのは、当たり前だ。
だったら、お互いにとって何がベストで、どういうルールで関係を結べばいいのか、それはその二人の中にしかないものだと思った。

だから、私たちは「恋人」にならない選択肢をとった。
だけど、特別な関係に名前がないのは、さすがに自由すぎるので、この関係を私たちは「パートナー」と名付けることにした。
それ自体に意味はない。
私たちが、他の友達たちとは違う、「パートナー」であるための唯一の条件は恋愛感情だけだった。
それ以外のルールは、私たちにとってベストな事を都度話し合うことにした。
だから必要ならパートナーが他にいてもいいし、セックスも求めないならしなくていいし、結婚も目指すかもわからない。
パートナーとの関係が、円滑に進むであろうことを常に考えるようにした。
私なりに考えたこの二つの関係の違いは論理と感情をどの程度混ぜ合わせて人間同士が付き合っていけるかということな気がしている。
「恋人」であることは、論理的なルールがすでに用意されているからこそ、感情ファーストでお互いのことを決められ、
「パートナー」であることは、感情的に関係を育み、論理的にお互いのことを考えられるものだと思う。

しかし、結果的に私たちは「パートナー」という関係でいることをやめることにした。
理由は、わりかしシンプルだったと思う。
「パートナー」でいない方が素敵な関係でいられると、お互い思ったから。
どんなに一緒にいたくても、どんなに好きだったとしても、感情は不安定なもので、環境に依存もしてしまう。
私たちはまだまだ人生の途中段階で、自分自身に精一杯すぎたから。
好きなだけで、一緒にいられればよかったかもしれない。
でも、私たちはそうはできない。
自分自身に満足できていないから、恋愛に溺れるには、早すぎたんだと思う。

こんな決断ができたのは、「パートナー」だったからだと、私は思っている。
お互いにとっていい関係だけを考え続けたからこそできた選択だった。
恋愛は、その二人だけのもの。
二人でベストな形を見つけなくちゃいけない。
それが「恋人」という選択肢にあるかもしれないし、ないかもしれない。
「恋人だから」を窮屈に感じていたり、相手に「恋人なのに」って思ってしまう時はきっとあると思う。
私たちは、好きだと「恋人」にならなくちゃいけないわけでは決してないから、そうあらなきゃと思っているなら、相手のことをまずは考えてみるべきだ。
二人を結びつけるものは感情だけだから。
一番の恋の形を二人で見つける、そんな恋愛がいい。

 


 

最後に、私のことを理解してくれて本当にありがとう。
これからはもっと素敵な関係になれると思ってます。
また。


TOW magazine 編集長 / ファッションブランドwonder world デザイナー ジェンダーの中間に生きています。 コスメと服を買う時が至福の時。 荷物は減らせないタイプです。

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