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【Think of Gender】 どう思われても、これが私だから:土岩聖矢さん インタビュー...

【Think of Gender】 どう思われても、これが私だから:土岩聖矢さん インタビュー

今回、記念すべきTOW magazine初のインタビューに快く応じてくださったのは、大学生の土岩聖矢(つちいわ せいや)さん。『ジェンダー』というボーダーに挑戦し続ける原動力と、その魅力に迫ります。

interviewer: Shiori Yanagi
photo: Riku Mukae


 

<PROFILE>
土岩聖矢(つちいわ せいや)
20歳。サロン、服のイメージ、ヌードなど多種多様な被写体として活動している。主にジェンダーレスであったり、性の追求などをテーマに起用される。
性への葛藤を発信するため2017年7月SAD EYESをタイトルに共同展を開催。
現在Ren Hangの追悼を意に共同プロジェクトを海外へ発信中。
今秋からフランスへ言語とファッションを学びに留学予定。

<INFORMATION>
「SAD EYES」
今回作り上げたこの作品は土岩聖矢、shimizu kana、柏木ちさめによる共同制作である。最近はやりのジェンダーレスと私たちの感じるジェンダーレスとの価値観に差を感じ、それを表現することから始まった。
自由な動きの中で女性的丸みや男性的な筋肉質な面を合わせ持つ身体的表情をとらえ、そういった2面性を撮影することでジェンダーレスの新しい違った着地点の模索を表現した。そして、孤独や悲しさ、性癖など個人によって違う表現をジェンダーレスという視点から作り上げた。

model:土岩聖矢
photo:shimizu kana
illustration:柏木ちさめ

 


 

7月某日、大阪・茶屋町のとあるカフェ。
土岩さんは、白のフリルシャツに個性的なパンツ、銀の厚底シューズと、シンプルながらもこだわりを感じさせる出で立ちで現れました。シャツの袖からちらりと覗くタトゥーが印象的。メロンソーダを注文して、「今日はよろしくおねがいします」と、写真のイメージとはがらりと違った、人懐っこい笑顔を私たちに向けられました。

―まずは簡単に自己紹介をお願いいたします。

ちょっと珍しい名前なんですけど、土岩聖矢といいます。今年21歳になります。姉と妹がいて、周りがみんな女の子という環境で育ちました。
趣味として、ずっと昔から変わらないのは服やアクセサリー作りです。デザインしたり、あと絵を描くことも好きです。 タトゥーはいくつか体に入れているのですが、ほとんど自分で書いたもので、ひとつひとつに意味を込めています。
最近は、人と話すことっていいなぁと改めて感じています。何かに影響を受けたりとか、インスパイアされたりするのが元々好きなんですけど、話すことで得られる刺激とか気づきってたくさんありますよね。

 

日本人という枠組みにとらわれず、海外の人からも自分がどう思われるのかを知りたい

―大学でやっていることはどんなことですか?

大学では経営学を学んでいます。ゆくゆくは自分でブランドを立ち上げたいなと思っているので、最初はマネジメントから学ぶという意味でも必要性を感じて選びました。
専門学校とかでデザインを学ぶという選択肢もあったんですけど、型にはまるのがあんまり好きではないなと感じて…。核になる知識や技術が必要だとは勿論思うんですけど、大学で勉強したいなと思っていました。
グローバルビジネスコースに所属しているんですけど、そういうのもきっかけで、海外の人と接する機会が学内外問わず多くなりました。そうしていると、海外の人の考えを聞く機会も多くてとても勉強になります。日本人からも勿論ですが、外国人から自分がどういうふうに見られるかというのは今後もっと知りたいと思っています。

 

やりたいこと、やるべきことにメリハリを付ける。充実した大学生活を謳歌する。

―どんな大学生活を送っていますか?

私は朝起きるのが苦手なので、朝早い授業は取らないようにしています。笑
10時半くらいから学校にいって、ギリギリまでいますね。もうすぐ留学を控えているので、貯金するために、あえて全休の日を作ってバイトしています。あとは自分のやりたいことにも自由に時間を使えるようにしています。最近までは個展の準備でも忙しかったので、ちょっと今は終わってひと段落というところですね。友達とごはんとか、飲みに行ったりとかしています。

 

フランス留学で自分のデザインの可能性を拡げたい

―留学はどこに行かれるんですか?

フランスです。リヨンっていう南フランスのまちで、滞在は半年の予定。交換留学なんですけど、そこでも経営学、あとフランス語の勉強もしたいと思ってます。あとは専門学校とWスクールでパターンの基礎を学ぶつもりです。やっぱり独学じゃ難しいかなと思う部分があるので、しっかり基礎を固めて、そこから自分のデザインの幅を広げていきたいです。

土岩聖矢

 

性的なものは美しい。 直感的に、人間らしさを感じるものに惹かれる。

―土岩さんは、どういったものに魅力を感じますか?

そこが結構難しかったりするんですよね。。
なぜかというと、私が魅力を感じるのは直観的なことが多いんですよ。何に対してもこれがいいと思ったらいいし、これが悪いと思ったら絶対に悪いというか。まあ、ちょっと悪い癖でもあるんですけどね。笑 自分の感覚は貫き通すと思います。自分が魅力を感じ続けられるものはずっと大切にできます。
魅力を感じるものかぁ…。正直、言葉にするのが難しいんですけど、私が惹かれるのは性的なものが多いかもしれないです。例えば変な趣味なんですけど、アダルトビデオを観るのが好きで。いやらしい意味ではなくて、(性行為を)観ていると人間らしいなあって思うんですよね。生きてるって感じがします。その人の意思表示というか、人間らしさが表れているものとかが好きだから、そういった性的なものに惹かれるのかもしれないです。

 

花そのものの美しさと、人間がそこに意味付けした花言葉に対する興味

あとはお花。個展でも花をつかった作品をいくつか出したんですけど、私すごくお花が好きで。花言葉にも興味があります。なんでこんな雰囲気の花なのに、全然違う感じの意味がつけられているんだろうとか考えます。そういうのって、すごく意味があって、重要だなって思います。その意味とかも含めて、背景も考えますね。人間がつけたものだから、その花がそういう見られ方をするってどういうことなんだろうって。個展の時には、私がお花や花言葉が好きなことを知って、友人が花を贈ってくれたんですよ。品種は忘れちゃったんですけど、「成功」という意味の花言葉の花らしくて、ものすごく感動しちゃいました。私のいろんな面を含めて、良さとか感覚を分かってくれたり、理解してくれる友人がたくさんいて、幸せだなと感じました。

 

背景となるストーリーやその人の想いを自分なりに見つめる姿勢

―花言葉にも背景を考えると仰っていましたが、誰かが表現した作品などの背景やストーリーを考えたりもするんですか?

日頃から考えていますね。これは何を思って作ったんだろうとか。別に答え合わせをするわけではなくて、ちょっと自己満足にも近いんですけど。人それぞれ思う部分は違うから、そういう経緯とか背景を考えることは、今後も大切にしてゆきたいと思ってます。

土岩聖矢

 

『 どう思われても、これが私だから。』ありのままの自分を表現する決意

―「SAD EYES」では、大胆なヌードを披露されていますが、そういった自身の身体を使った表現の背景にはどういったものがありましたか。

今回の個展の背景で言うと、自分のセクシャリティとか、そういった部分で小さい時から悩んでいたことが関係しています。
偏見はこれまでにもあったし、これからもきっとあるだろうけど、この個展では自分の持つ男性らしさと女性らしさ、どちらも表現したいなというのがありました。
最初は他のモデルをお願いしようかなとも思ったんですけど、本当に自分の表現したいものを表現するには、自分を出すしかないなと思ったんです。自分にしかできないだろうなと。ここまで大胆に表現したことは今までになかったんですけど、そういうのも含めて私にしかできないなと決断しました。どう思われても「これが私だから」。そういう気持ちでやりました。

 

現代人には危機感が足りない。型にはまらず、自分を表現することの重要性

_表現したいと思う根幹には、自分にしかできないものを表に出したいという気持ちがあるんですか?

今回の個展に関してもそうなんですけど、人に見せびらかしたいとか、そういう気持ちはないです。「自分を表に出したい」というより、自分の道のりというか、「自分を表わすこと」自体が絶対に大事だと私は思うんです。
話が少しずれるかもしれないんですけど、今の人たちは危機感が足りないなぁと感じていています。日本って生活水準が高くて恵まれているのに、人と被っていることに危機感がまるでないなって。周りの人と合わせたりとか、型にはまったことをしていないと駄目みたいな、そういう縛りを強く感じることも多くて。「それっておかしくない?」って思います。今回の個展では、そんな気持ちを表現するために、「縛りからの解放」という意味を込めて、ボンテージアートを使った作品を撮影しました。今のそういう風潮への反逆、とまではいかないんですけど、私は私なんだぞっていうのを絶対に出したかったんです。

 

見た目で 「どっちか」に決める社会への挑戦

―「SAD EYES」で、表現したかったのはどういったことですか。

さっき話したようなことも表現したかったことなんですけど、見た目でどっちかわからないというのがテーマの1つでもあります。性別とか見た目とか、あんまり関係ないんじゃないかなって思っていて。
私は、性別に関して昔ながらの決めつけが結構多い環境で育ったんです。小さい時に親からも、男の子らしさとか女の子らしさとか、「らしく振舞うのが当たり前」みたいなことを言われることが多くて。「男の子なんだからこういう部活がいいんじゃない?」とか「男の子にはあんまりメイクとか必要ないんじゃない?」とか。でも今は親の理解もあって、「あんた最近きれいになったね」なんて言って私を応援してくれるんですよ。
そういう経歴もあってか、見た目ってそんなに大事かな?と思うんです。服装とかそういう見た目じゃなくて、内面的な見た目というか。うーん、なんというか、みんな外見にとらわれすぎているような気がするんですよね。
だから、そういった分も含めて、今後も外見や色んなものにとらわれない、開放的な表現をしていきたいなと思っています。

土岩聖矢

 

「やりたい」ではなく「やらなければならない」という覚悟と使命感

―土岩さんの今後のビジョンはどういったものですか?

まだまだ決めれない部分もあるんですけど、自分のブランドの立ち上げはしたいです。それに向けて、自分を表現したり発信できる場所をもっと作ったりしたいですね。単純に言うと、私は自分のやりたいことをやらなきゃいけないと思っているので、そこへ向けて積極的に動いていきたいです。

 

―「やらなきゃいけない」?

そうですね。なんかもう「しない」という選択肢がないというか。
するために働くし、必要なら場所もどんどん変えるし。なんでもしようと思っています。今回個展の経験を通して、自分でも少し強くなった気がします。こんなにも理解してくれる人がいるんだと知れたし、こんなにも多くの人が、自分のことを思ってくれているんだって。こうして取材してくださっていることでも感じるんですけど、それって自分にそれだけ魅力があるってことなんだって気づくことができました。
何年かかってもいいから、人の心を動かせる人になりたいなと思っています。最終目標は自分のブランドを立ち上げることなんですけど、別にそれにとらわれずに、もっと色々な表現をしていきたいと思っています。

 

―「心を動かす相手」には自身のターゲット像はありますか?

今回の個展では、特にターゲット設定はしてないんですけど、前提として理解のある人、というのはありました。集客をたくさんすることよりも、自分と同じようなものを抱えている人たちにも届けばいいなと。これまでにも、これからもそうだと思うんですけど、自分みたいな人はたくさんいるだろうし。性の表現を嫌だなと感じる人もいると思うんですけどね。

 

流行の「ジェンダーレス」に対する疑問

最近流行っている「ジェンダーレス」にはちょっと疑問を感じます。そこに自分らしさはあるのかな、それって本当のジェンダーとは違うよね、表現の仕方間違っているよねって思うんです。自分は20年そこそこしか生きていないので、偉そうに言える立場ではないですけど、流行りにのってやっているだけなら、そういう表現の仕方は改めたほうがいいんじゃないかなとも思います。

 

―強い意見をもっていらっしゃるんですね。

そうですね、こんな頼りない感じなんですけど、口だけは達者ですね。笑

 

ー口だけではない、内側からの強さを感じます。

自分のしたいことは、熱い思いがないとできないと思っています。最近の人はなんだかすごくあっさりしてることが多いと感じることがあって。もっと本気で会話したり、ぶつかり合って喧嘩したり、挑戦して失敗したりしたらいいんじゃないかなって思います。
私自身、どんどん失敗もしていきたいと思っているんです。大きな失敗がなかったら、前に進んで行けないし。

 

「ジェンダー」のボーダーは、1割は必要。残りの9割は、表現をするという意味で必要ない

―最後に質問です。今回私たちは大きくボーダーレスというテーマでインタビューさせて頂いたのですが、土岩さんはジェンダーに対してどういった考えをお持ちですか?

うーん、難しいですね…。私もはっきりと答えを持っているというわけではないんですけど、ある程度ジェンダーの枠組みは必要なんじゃないかなと思っています。こんな感じですけど。
私自身、男性的、女性的といったような言葉を使いますし、私が今回表現したかったのは性的なものも含んでいますし。私の男性の体は、簡単には変えられないじゃないですか。それを、「どう活かしていくか」というのが、私の挑戦というか。メイクも昔から好きだったし、女の子の服も全然着るし。でもそれがいわゆる「ジェンダーレス」かって言われたら、ちょっと違うなってなるんですけど。
私は男性がスカートを履いてもいいと思うし、女性が坊主にしてもかっこいいなって思うし、そういうのでとらわれる風習はなくてもいいんじゃないかと思っています。その人のしたいことや表現したいことを周りの決め付けや何かにとらわれることでできなくなるのは違うなって思います。
でも、変えられない自分の骨格とか、そういうのを隠すのも少しちがうかなって思うんです。自分のそういう部分に向き合っていったらいいんじゃないのかなと。

性別の壁が必要かどうかは、少し答えにくい部分はあるんですけど、やっぱり考えとしては必要なんだと思います。9割いらなくて1割いるというか。表現の面では必要ないんじゃないかなと思います。性別とかで被害を受けたり、決めつけられたり、とらわれたりするというのはおかしいんじゃないかなと思います。何度かお話したように、そういったものにとらわれない表現を今後も続けていきたいと思います。

土岩聖矢

ー本日はありがとうございました。
ありがとうございました!!

インタビューを終えて・・・
SAD EYES。悲しみを湛えていながらも、それはそれは強い意志を持った素敵な瞳でした。インタビューを終えた感想としてまず言えることは、温和な雰囲気を醸しながらも、根底から発せられるその強さにただただ圧倒され、そして惹きつけられたといったところでしょうか。
土岩さんは、言葉を慎重に選びながら、ひとつひとつ丁寧に質問に答えてくださり、約1時間にわたるインタビューは終始和やかな雰囲気でした。しかし、土岩さんの言葉と、その内側に込められた情熱に、我々編集部はひりひり刺激を受けっぱなし。「カ、カッコイイ…!」と薄っぺらな感想が漏れそうになるのを何度こらえたことか。
終了後は、カフェに設置されていた撮影ブースのつけ髭を付けておどけて見せたりと、インタビュー中の真剣な眼差しとはまた違った無邪気な一面に、思わず「カワイイ…!」と、ここはうっかり声に出してしまいました。笑
メディアなどでも、セクシャリティに関する話題はよく聞かれるようになり、以前よりも確実に社会的理解は深まりつつはありますが、未だに誤解や偏見等が見られる場面は数多くあります。そうした中、ジェンダーやセクシャリティに対する考えは多様を極めています。今回は我々編集部と通ずる部分もあった土岩さん独自の素敵な考えを聞かせていただきましたが、これからも、ボーダーレスな社会を目指した我々の旅は続いてゆきます。


福祉に携わっています。ライターの肩書きに憧れる超一般人。音楽と映画と面白いことが好きです。落ち着くのは喫茶店と居酒屋、フットワークは軽いほう、どちらかと言えばミーハー、たまごサンドは永遠のブームです。垣根の低い世の中がきっと素敵です。

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