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トム ブラウンが表現するファッションの「Why not?」...

トム ブラウンが表現するファッションの「Why not?」

ファッションなんて個々の自由じゃない。なんて言葉を耳にすることはよくあるかもしれません。
しかし、ファッションは本当に自由なものなのでしょうか?
私たちは生まれた時誰もが同じく裸のまま生まれます。そして、年を重ね、自我が芽生え、自らで物事を選択するようになる。
性別、年齢、肌色。様々な要因がその選択肢を狭めます。
もう一度言います。ファッションは本当に自由なものなのでしょうか?
私たちは自由にファッションを選択しているつもりが、実はそれは自由じゃありません。
売り場はメンズとレディースでわかれ、百貨店はターゲット年齢でフロアを分け、パリコレでは未だに白人モデルが中心である。
これでもファッションを自由に選択していると言えるのでしょうか?

ファッションの歴史を辿れば、女性の洋服は貴族のために生まれ、ボディラインに沿ったボディコンシャスで女性の魅力を高めるものとして、男性は戦争で味方がわかるために軍服を着ていた。そこには一切の自由はなかった。社会の流れともに、女性はコルセットを捨て動きやすい服を、男性にも選択の自由ができた。その後様々なカルチャーから、ファッションの多様化は進んでいった。そして、2000年代にはJean Paul GaultierやCOMME des GARCONSなどの様々なブランドがメンズウェアをレディースウェアに、またレディースウェアとメンズウェアにするなど、ファッションの境目をなくそうと尽力してきた。
しかし、未だにそれはコレクションピースとして眺められるある意味 ”アート” のような扱いである。

トムブラウン2018春夏メンズコレクション

そんな中、今年6月にパリで行われたパリ・メンズファッションウィークでおもしろいコレクションを見つけた。「トム ブラウン(THOM BROWNE)」が2018年春夏メンズコレクションでが発表したコレクションである。全45ルック中、7割ほどのメンズモデルがスカートを着用し、全員がハイヒールを履いて登場した。他にも、プリーツやペンシル、シャツワンピース、ショート、ロングなど多様なシルエットのスカートが登場していた。
コレクションの中で、スタイリングとしてレディースアイテムをメンズが履いていたり、「ジェンダーレス」をテーマにしたコレクションも今まではあったが、全ルックにここまで ”タブー” を持ち込んだコレクションを見たのは初めてでした。スタイリング自体はトム ブラウンらしい、アメトラスタイルで美しいテーラリングである。
全く違和感を感じさせないスタイリングは、このままサラリーマンが営業へ出かけても誰一人として文句をつけることはできないかっこよさになっている。

トムブラウン2018年春夏
↑二の腕丈のジャケットがまるでケープのようで女性的


↑長短で遊んだ3ピースルック。タイトなスカートがシルエットをまとめていて、綺麗な印象

一つ一つのルックから「Why not?」というメッセージを感じられるコレクションになってる。
「なぜ男性は女性の服を着てはいけないのか?」
「なぜ服のシルエットは身に着ける性別と直結しなければいけないのか?」
「なぜ定番のブローグシューズは、ハイヒールにしてはいけないのか?」

そして、何と言ってもラストルック。正面からはボウタイを身につけた、タキシードに見えるが、背面は美しいウェディングドレスになっている。ジェンダーの二面性を強く表現するルックになっている。

母親のお腹から出てきた時、ペニスの有無で作業的に分けられた性別に私たちは一生縛られて過ごしている。
それを皮肉り、そして本当の意味での自由を提案しているそんなコレクションだったと私は思う。

ファッションは自分を隠すと同時に自分自身を表現するものである。

クローゼットに入ってる服の中で何着を自分で選択しているだろうか?
ファッションはあなたの身体を天候や地面などの外的要因から守るだけではない。
身体をより美しく魅せたり、時にはコンプレックスを隠したり、時には日常生活を送る上で機能的でない場合もある。
きっとそれでいいんだと思う。
ファッションを楽しむことにはルールも制約も存在しないと思う。
好きな服を着ているときは誰だって無敵だから。
社会の規範やプロトタイプに縛られ、選択肢を狭めるんではなく、本当の意味で自由なファッションを楽しめる社会がいつか訪れることを願っています。


TOW magazine 編集長 / ファッションブランドwonder world デザイナー ジェンダーの中間に生きています。 コスメと服を買う時が至福の時。 荷物は減らせないタイプです。

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